破砕機の役割や種類について
リサイクル向け破砕機メーカー・代理店の事例も紹介
破砕機という機械があります。がれきやガラス、プラスチックなどを砕くための機械です。
砕くことで材料を運びやすくしたり、土木工事をするための材料をつくるために使われたりする破砕機ですが、リサイクルにおいても重要な機械となります。破砕されたものが必要な工程を経て、再び資源として使われることがあるためです。
これからリサイクルを事業にしたい、企業として持続可能性な社会を追求したいという場合、破砕機の存在を知り導入の検討をしているケースもあるでしょう。破砕機にはさまざまな種類があり、価格相場も異なります。費用やスペックが過大とならないため、どの種類が自社に合っているかを検討することがおすすめです。
この記事では、破砕機の役割や種類などを取り上げます。
破砕機とは?何のために使われるのか
破砕機とは、物体を砕くための大型機械のことです。破砕によって、前述のように材料を生産する・運びやすくする他、リサイクルの工程でも破砕機が使われます。
もっとも、粗砕機や粉砕機という名前も機能も同じような機械が存在します。これらの言葉の違いとともに、破砕機が砕く対象となるもの、破砕機の用途を見ていきましょう。
粗砕・破砕・粉砕の違い
先ほど少し触れた破砕と似た言葉について、破砕との違いを見てみましょう。機械を通して砕いた後にできる物体の大きい順に並べると、次のようになります。
1. 粗砕
2. 破砕
3. 粉砕
粗砕したものは破砕したものより大きく、粉砕したものは破砕したものより小さいです。また、これら3つのうち、破砕したものは中間の大きさともいえます。
もっとも、◯センチメートル〜◯センチメートルが破砕したものである、などといった定義はありません。取り扱うものや業界、場合によっては企業によっても、これらの言葉の使い分けは異なることがあるでしょう。
一方、粗砕機の後に破砕機でさらに砕く、破砕機の後で粉砕機によってあらためて砕く、といったケースもあります。後工程の効率化などが、こうしたダウンサイジングを重ねる理由です。
破砕機が砕くもの
破砕機が砕く対象物を見ていきましょう。次の通りです。
- がれき
- 石・鉱石
- セラミックス
- ガラス
- プラスチック(ペットボトル含む)
- 穀物
- その他の廃棄物
これらを破砕機によって砕くのは、なぜでしょうか。次節で、取り上げます。
何のために破砕機を使うのか
破砕機を使う理由や目的について、こちらも一覧化して見てみましょう。
1. 解体現場や災害で発生したがれきを運ぶ、処理するため
2. 石などを運搬しやすい大きさにするため
3. 土木工事で使う敷石や砕石をつくるため
4. 粉末状にするため
5. ごみとして埋め立てるため
6. リサイクルで再資源化するため
1点目は文中にある通り、がれきにおける破砕機の用途です。同様に、2点目、3点目は石や鉱石の場合です。4点目は、主に穀物の用途となります。
そして、5点目、6点目が廃棄された製品、材料での用途です。現在、世界的に廃棄物を再資源化する流れとなっているため、6点目のリサイクルで再資源化するという用途は、ますます増えていくことが考えられます。
そこで、リサイクルで破砕機を使う場合、具体的にどのような工程となるか、プラスチックと自動車リサイクルの2つの例を見てみましょう。
まず、廃棄されたプラスチックは破砕して洗浄。その後、ペレットという材料にします。破砕や洗浄のプロセスは前後する場合もあります。
一方、自動車リサイクルで破砕は、最後にあるプロセスです。再利用できるものや処理が難しいものを取り除いていき、最終的に残ったものを破砕機にかけます。破砕されたものも、金属など再利用可能なものをできるだけ回収し、リサイクルします。
破砕機の種類|主要な構造とともに知る
破砕機には、いくつかの種類があります。ここでは、主だった4種類を取り上げます。
なお、破砕機を知る上で構造についても知っておきたいところです。以降の説明で、さまざまな部位の名称が出てくるためです。これらを、先に取り上げます。
スクリーンは、穴の開いた鉄板のことです。砕く対象物が穴を通る大きさになるまで、破砕を繰り返します。破砕機によってはスクリーンの交換ができ、それによって穴のサイズの変更が可能です。スクリーンと穴のサイズの選択によって、破砕後の大きさ、破砕にかかる時間に違いが出てきます。
ローターは、刃の付いた回転する部分です。ローターが回転することで、破砕の対象物は一定方向にのみ動きつつ、刃で砕かれる仕組みです。
それでは、4種類の破砕機を見ていきましょう。
一軸破砕機
一軸破砕機の「一軸」とは、ローターの軸のことです。よって、ローターも1つしかありません。また、ローターに付いた回転刃の他、ローター近くに固定した刃が存在します。
回転刃により物体を固体刃に押し付けながら破砕していくものです。
この後、取り上げる破砕機と比べると、一軸破砕機は簡素な構造となっています。そのため、刃やスクリーンの交換、メンテナンスも比較的簡単です。反対に、騒音が出やすいデメリットもあります。
二軸破砕機
二軸破砕機のローターは、2つです。左右に並んだローターが中央に向かって回転します。その上にある対象物が、ローターとローターの間を通ろうとしながら、破砕されていく仕組みです。
二軸である分、加わる力が大きくなり、さまざまなものを破砕できるのがメリットです。デメリットは、狙った大きさに破砕することが難しい点となります。
ハンマー式破砕機
ハンマー式破砕機は、軸にハンマービーターと呼ばれる鉄板のようなものがいくつも付いています。ローターが回転しつつ、いくつものハンマービーターが対象物に衝撃を与え、破砕する仕組みです。
強い力が加えられるため、鉱石やコンクリートといった非常に砕きにくいものを破砕できる点が、ハンマー式破砕機のメリットです。デメリットは、その分、騒音も大きくなりがちな点となります。
自走式破砕機
自走式破砕機は、キャタピラーなど破砕機そのものが動くための構造を備えたものです。ここまで取り上げた、砕く方法による区別とは異なります。
先ほど、見出し下に掲載した写真のように、砕石現場や解体現場などで見られます。
破砕機の価格相場
破砕機の導入で、気になるのが価格です。
インターネット上で価格を明示している破砕機を見ると、構造がシンプルな一軸破砕機で最低でも300万円台となっています。高いものでは1000万円に満たない程度の価格です。
高機能なものになれば、価格はもっと上がります。つまり、数千万円以上となる場合があるということです。
以上は新品の価格です。では、中古品はどうでしょうか。
車における中古車と同じく、中古品は同じ機種の破砕機でも状態によって価格は大きく異なります。あまり程度のよくないものは安価である一方、状態がよければ新品とさほど変わらない価格となっているケースがあります。
先ほどの新品の価格と同様、インターネット上の中古品価格を確認したところ、数百万〜数千万円と新品並みとなっているケースが多々見られました。
Enma Japanに見る破砕機メーカー・代理店の例
実際に破砕機を提供する企業を見てみましょう。
Enmaは1990年にフランスのリールで設立した、破砕機メーカーです。日本では、Enma JapanがEnmaの代理店として、破砕機を販売しています。
Enmaが製造・販売する破砕機には、先ほど取り上げた一軸破砕機、二軸破砕機の他、四軸破砕機もあります。
四軸破砕機は、ローターが4つ付いた破砕機ですが、基本的な構造は二軸破砕機と同じです。つまり、機械の中央に向かってローターが回転し、対象物はそのローターの間を通り抜けようとしながら破砕する仕組みです。
先ほど、二軸破砕機は狙った大きさに破砕するのが難しいデメリットがあると、取り上げました。これは、スクリーンを付けると詰まりが起きるため、スクリーンなしで稼働させることが多いからです。しかし、四軸破砕機は多軸のため刃に異物があっても別の刃が押し出してくれるなどの理由からスクリーンが取り付けられ、破砕後の大きさにある程度、狙いを定められます。
つまり、二軸破砕機のデメリットを補うのが、四軸破砕機です。
Enma Japanに話を戻すと、同社(フランスのEnma本体を含む)のロゴには「RECYCLING ENMA」という文字が書かれています。また、Enma Japanのウェブサイトは破砕機というよりもリサイクルのソリューションを紹介するという文脈になっており、関連会社で破砕機がどのようにリサイクルで使われているかの見学が可能です。
リサイクルのために破砕機を導入する際は、Enmaのようにメーカーや販売店のリサイクルへの熱意があると、話がスムーズに進みそうです。
まとめ|リサイクルの工程「破砕」に必要な装置が破砕機
破砕機は、さまざまなものを砕く機械です。リサイクルにおいては、破砕して再資源化する場合があります。そのため、リサイクルでも破砕機は重要な機械です。
リサイクルで破砕機を導入する場合は、何を破砕するか、維持に関するコストや手間、購入の予算を見ながら検討することがおすすめです。Enma Japanのところで触れたように、販売店選びで目的のものが見つけやすくなる場合もあるでしょう。
リサイクルテック ジャパンでも破砕に関する展示を予定する他、リサイクルに関する機械、ソリューションを紹介する出展社がいます。リサイクルに取り組むみなさまに、ぜひお越しいただきたい展示会です。
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